錯誤

contents

  1. 錯誤
    1. 表示行為の錯誤
    2. 動機の錯誤
    3. 取消の要件
    4. 相手方が表意者の錯誤につき悪意、もしくは重過失の場合
    5. 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
  2. 取消権者
  3. まとめ

錯誤

錯誤とは、勘違いのこと

錯誤が「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」であることが重要になる

簡単にいうと、その勘違いがなければ、表意者だけでなく
一般の人も通常は意思表示しないであろうという事情のこと

錯誤の種類は以下の2つです。

表示行為の錯誤

  1. 買う商品を間違えた場合
  2. 代金を間違えた場合

原則として、取消ができる

動機の錯誤

  1. 契約をするきっかけに勘違いがあった場合

例:Aさんが「この土地は新しい駅の近くにできるから、値上がりするはず!」と思ってBさんから土地を「買います」と意思表示してしまったが、実は新しい駅は作られないことが後でわかった場合など

上記のような動機の錯誤の場合、原則として取消ができない


ただし、その動機を相手方に表示していた場合、表示行為の錯誤とすることができ、取消ができる

例:Aさん「この土地、駅ができるなら買います!」Bさん「はい、どうぞ!」(Aの言葉を聞いて契約した)
→ でも、実は駅ができないとわかった!

表示方法については、

  1. 明示的(はっきり言う)
  2. 黙示的(はっきり言っていないが、そうであるように振る舞う)

でも良いとされている。

取消の要件

錯誤で契約を取り消すには、表意者(勘違いした人)に重過失がないことが原則です。
(表意者 = 勘違いをして意思表示をした人)

✅ 「ちょっとしたミス」 → 取消OK!
❌ 「ちゃんと確認すればわかるような大きなミス(重過失)」 → 取消NG

ただし次の場合は、表意者に重過失があったとしても、表意者は錯誤による取消を主張することができる。

相手方が表意者の錯誤につき悪意、もしくは重過失の場合

相手の錯誤を知っていながら契約をした場合
→保護をする必要がありません。

✅ 相手が悪意(わざと騙していた) → 取消OK!

相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき

お互い誤解している場合
→取消ができる

例:Aさんが地下鉄の駅ができると信じて、それを表示した上で土地を購入した
Bさんも同じ噂を信じてしまい、高値で売却した

お互い錯誤に陥っている場合、Aが重過失で取消ができないとすると
Aが一方的に損をしてBが儲かってしまうため、Aに重過失があっても取消ができる

取消権者

表意者が取り消す意思がない場合、相手方や第三者が取り消すことは原則としてできない
ただし、表意者が意思表示に錯誤があることを認めている場合、
第三者は表意者に対する債権を保全するため、取消権を行使することができる。

錯誤の取消は善意無過失の第三者には対抗する事ができない

簡単に言うと・・・
「契約を錯誤(勘違い)で取り消せる場合でも、何も知らずに関わった第三者の権利は守られる!」ということ

まとめ

✅ 表意者だけが勘違い → 原則、取消はできない(重過失がなければOK)
✅ 相手も同じ勘違いをしていた → 取消できる!